『ふるさと60年 戦後の日本とわたしたちの歩み』文:道浦 母都子/絵:金 斗鉉
これまでに出会った絵本の中でも確実にベスト3に入る親子揃って感動&高評価の一冊でした!!
ある一家のおじいちゃんおばあちゃんの幼少期から現代までの回想に沿って話が進みます。
縦34cm、横29cmの大型サイズ見開き一杯に細かいところまで町の様子が描かれておりますが、面白いのがどの時代も同じ場所から見た風景になっていることです。
例えば、1946年の様子が描かれているページでは川の護岸工事がされておらず、川で洗濯をしたり魚釣りをして遊んでいる様子が見えます。
その後、土管が通され斜面もコンクリートで固められ、さらに時代が進むと川は埋め立てられて高速場所の発着所になるなど時代ごとに町が変化していく様子が分かります。
“語り部”であるおじいちゃんおばあちゃんも時代ごとに姿(年齢)を変えて描かれておりますし、風景だけでなく徐々に洗濯機やTVが普及していく様子など暮らしの変化も分かります。
当時を知らない自分や息子にとって、戦後から現代までの高度成長期やバブル期の変化の様子がこれほどまでに分かりやすく楽しく学べる本は絵本に限らず初めてでした。
何度読んでも飽きませんし、親子3代で読むとさらに楽しいと思います♪
それでは読み聞かせレビューです!
【読み聞かせにかかる時間】
□5分未満
□5分以上~10分未満
☑10分以上
ページ数:40P
【子供の反応】
背表紙のタイトルが渋いので、タイトルに惹かれたというより他の本を圧倒する“大きさ”に興味をもって手にとってみた感じでした。
(どっちにしろ4歳の息子は文字が読めませんが…笑)
「同じ場所なのに昔はこうだったんだ」という変化が分かるのがとても面白いらしく、ある一箇所の変化に気づいてはページを何度もめくり返して比べています。
「昔から今になる本見ようよ!」と毎日のようにせがんできます。
まさか乗り物好きの息子が、歴史や風土にここまで食いつくとは思いませんでした。。。
【おすすめキーワード】
・歴史 ・風土 ・戦後の暮らし ・高度成長期 ・バブル期 ・都市開発
【学べることキーワード】
・街の変化 ・暮らしの変化 ・得るものと失うもの ・自然との共存?棲み分け? ・自分には懐かしすぎる1996年のページ(あぁ青春)
【読み聞かせのポイント】
本のサイズでかい(重い)ので、置いて読みましょう(笑)。
時代ごとにおじいちゃんおばあちゃんが当時のことを懐かしく語ってくれるので読み応えがありますが、じっくり見るだけでも面白いですね。
また、当時を象徴するもののピックアップ解説もあるのでかいつまんで少しづつ読んでも良いかと。
風景や暮らしの変化や特徴を探すという“ウォーリー”や“ミッケ”とは違うオンリーワンの“探して学べる楽しい絵本”です!
【この本を読んで-大人の感想文-】
学校で日本史は学びましたが、ある意味一番大切な近代史というのは学校でほとんど教えてくれません。
両親や祖父母から話を聞く他に、戦後の高度成長期はプロジェクトXで学び・・・
連合赤軍については実録映画で学び・・・
70年以降のトレンドや雑学は『こち亀』から学びました(笑)。
しかし、“一般的な庶民の暮らし”を分かりやすく知ることができるものにはなかなか出会えませんでした。
それが、まさか自分の子供が見つけるという形で出会えるとは思いませんでした。
妻も呆れるほど息子とハマっていますが、今度は是非両家の両親にも見せてあげたいと思います。
おじいちゃんおばあちゃんに読んでもらうとさらにリアリティのある話が聞けそうで楽しみです。
【購入情報】
文:道浦 母都子
絵:金 斗鉉
出版社:福音館書店
発行日:2012年2月