『はくぶつかんのよる』文・絵:イザベル・シムレール/訳:石津 ちひろ
誰もいなくなった閉館後の博物館はどうなる?
展示物が動き出すというちょっと不思議な世界を描きながらも、展示物の丁寧な解説もされているというファンタジー感溢れる図鑑絵本といった感じでしょうか。
人気絵本『あおのじかん』の作者が描く、フランスのリヨンに実際にあるコンフリュアンス博物館を舞台としたお話。
それでは読み聞かせレビューです!
【読み聞かせにかかる時間】
□5分未満
□5分以上~10分未満
☑10分以上
ページ数:42P
【子供の反応】
色鮮やかな原色で描かれる多種多様な展示物と、展示物なのに躍動感溢れるという描写に心を奪われてしまったという感じで見入ってました(笑)。
展示物が動くということに関しては、半分信じてるという感じでしょうか。
舞台となっているのは夜ですが、黒でなく“ミッドナイトブルー”といった雰囲気の描写が怖さを抑えて幻想的な世界へと誘ってくれているようです。
【おすすめキーワード】
・ 外国の博物館 ・独創的デザインの博物館 ・フランスのお洒落感
【学べることキーワード】
・博物館の展示物 ・ダルマさんが転んだ的な夜の遊び ・開店直前の慌ただしい店内感 ・遊びと仕事の切り替えの早さ
【読み聞かせのポイント】
展示物がかなり細かく描かれているページもあります。
そのページで子供に全て解説を求められると、止まるどころか自分でも見たことがないものの登場でフリーズ→「・・・今日はこの辺にしようか?」となること必至です。
作中に出てくる展示物のごとく軽やかに読み進めましょう(笑)。
もちろん、余裕がある時は逆に展示物の所だけをじっくりと図鑑として読んでも良いかと思います。
【この本を読んで-大人の感想文-】
幻想的な世界観に引き込まれましたが、これが実在する博物館だということを知って驚きました。
オーストリアの建築設計事務所コープ・ヒンメルブラウによる設計で、“クリスタル”と“雲”をテーマに建設されたようです。
2014年オープンと新しく、外観だけでなく展示も独創的かつ貴重なものが多いとのこと。
是非一度絵本の舞台巡礼も兼ねて行ってみたいと思いました。
余談ですが、私は学生時代に学芸員の資格取得に単位を落として失敗しました…。
当時は軽い気持ちで「水族館で働こうかな」と思ってましたが、最近はこういう博物館で働きたかったなとも思うようになったので当時の自分を叱責してやりたいです(苦笑)。
【購入情報】
文・絵:イザベル・シムレール/訳:石津 ちひろ
出版社:岩波書店
発行日:2017年06月
上野の国立科学博物館の予習にはこの本がお薦めです♪