おとえほ(お父さん、絵本読んで)

一児の父が綴る絵本紹介ブログです。3~6歳向けの絵本中心です。

『イモリくん ヤモリくん』松岡 たつひで

 

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水棲生物図鑑+冒険物語の絵本といった感じでしょうか?

 

擬人化されたイモリとヤモリが主人公ですが、生息環境や生物の特徴がかなり細かくリアルに描かれています。

 

水中という普段見えにくい世界のことを楽しみながら分かりやすく正確に知ることができると思います。

 

それでは読み聞かせレビューです!

 

【読み聞かせにかかる時間】

□5分未満

□5分以上~10分未満

☑10分以上

ページ数:32P

 

【子供の反応】

魚は好きなのですが、昆虫系が苦手な息子にとっては好きと嫌いが入り交じっているような複雑な感じだったようです(苦笑)。

 

主人公以外の生物はリアルな描写なため、「怖い」となってしまいました。
(個人的にはそこが良い所だと思うのですが・・・)

 

おもちゃのヘリコプターに乗って水槽から脱出するアクションシーン(?)あたりは好きなようでそこだけ読んだりしてました(笑)。

 

魚好きで大学が水産学部だった私的には満点に近い絵本でしたが。。。。

 

【おすすめキーワード】

・水の中の生き物 ・水棲生物 ・水辺環境 ・食物連鎖

 

【学べることキーワード】

・イモリとヤモリの違い ・生物が棲んでいる環境と食べているもの ・食物連鎖があるうえで成り立つ生物多様性 ・擬人化された登場人物とリアルな登場人物の狭間に戸惑う子供の心理

 

【読み聞かせのポイント】 

興味があって怖がらないようであれば綿密に書き込まれた水棲生物について一つ一つじっくり触れていっていいかと思いますが、そうでなければ物語重視でサラッと読み進めていってもいいかと。

 

この絵本は読み方によっては単体の図鑑としても十分活用できると思いますし、スリル満点の冒険絵本としても楽しめます。

 

同時に楽しむことが出来るようになれば、それは大人の階段を一段登った生き物大好きっ子に成長したと言えるのではないでしょうか。

 

【この本を読んで-大人の感想文-】

しっかり書き込まれた水辺環境に感服しましたが、作者の松岡さんは新潟県長岡市の産まれで子供の頃から野山を駆けまわっていた昆虫大好き少年だったようです(作者紹介より)。

 

誕生も1945年と少年時代はきっと今より多くの生物が生息していた水辺環境が身近にあったのでしょう。

 

もう一点、この本が素晴らしいと感じたのは食物連鎖についてしっかり触れていることです。

 

主人公の目の前でカエルが食べられていたりと絵本にしてはなかなか衝撃的ですが、ボヤかしたり「残酷な・・・」という表現を使っていないところが真実を伝えていると思います。

 

「怖いところもあるけど、みんな一生懸命生きているからこの池が好き」というイモリ君の台詞はとても深く心に染みました。

 

【購入情報】

作・絵:松岡 たつひで
出版社:岩崎書店
発行日:2016年2月